なるトモ

何日か前の朝、何気なくテレビをつけたら
どこかで見た、まあるい顔がアップになった。
よく見ると「なるみさん」だ。と言うと知り合いのように
誤解されるといけないのだが、単なる彼女のファンなので
呼び捨てにはできない。
なるみさん、もしくはなるみちゃん。
読売TVの「なるトモ」という朝のワイドショーが
東京の日本テレビでON AIRされる運びとなったのだ。
なるみさんは女性二人「トゥナイト」という名前で漫才の
コンビを組んでいたが相方が引退、今は一人でいくつも
番組を持っておられ関西では人気者。ダミ声?いやいや、
ハスキーな声と、人なつっこい笑顔の中に少量の毒と優しさを合わせ持つ独特のキャラクターで
陣内智則さんとからみながら司会をするワイドショーだ。
内容がどうとか言うより
大阪の匂いが感じられることがたまらない。
テレビに向かってつい「なんでやねん!」が
出てしまうのである(^^;
司会の二人と芸人さんの丁々発止のやりとりが
スリリングでおもしろい!
最近とみに「大阪」の血が騒ぎはじめているようだが
これも年のせいか。
関西方面に行くとホテルに着いてまず新聞のTV欄をくまなく探しお笑い番組をチェックすることから始まる。
タイミング良くそれが見られたら最高に嬉しいのである。

小学生の頃、土曜日は学校が半ドンで
家までお腹をすかせながら走って帰った。
教科書が少なくランドセルに隙間があるせいか
走ると筆箱がカタカタ鳴る。その音が気になり
なるべく左右に揺れないよう両手で肩のベルトをしっかり
押さえながら通い慣れた通学路を急ぐ。
商売をしていた我が家は商店街の入り口にあり
そこにたどりつくまでに
ご近所のおじちゃんやおばちゃん達と
「ただいま〜」
「おかえり!今日は早いやないの」
「だって土曜日やもん」
「そんなこと言わんともっと勉強しといで〜」
「いやや、死ぬほどしてきた」
などといつものご挨拶をしながら通り抜けて行く。
家に帰ると両親はお店に居たり仕入れに行って居なかったり。
私は、昼食のきつねうどんを一気に食べて
(当時、お店は忙しく人も多く居たのでお昼は
大抵うどんだった。お昆布と煮干しでとった
出汁は母の味、もう一度味わってみたいものだ)
二階に上がりテレビの前に座り
チャンネルをまわす‥間に合う。
「プンワカパッパ〜プンワカパッパ〜‥」
このメロディーを聞いただけでにこっとしてしまう。
吉本新喜劇の劇場中継である。
ストーリーは大阪のどこにでもありそうな町の人々の
人情を中心にひと騒動交えながらコントがからみ
ハッピーエンドというパターン。
数年前、大阪なんば花月に観に行ったが
役者さんが変わっているだけで何も変わっていなかった。
私にとってはそれが何より嬉しい。
一番前の端っこの席だったが芸人さんと
客との間に流れる空気感がなんとも言えず楽しい。
ライブであることの緊張感は音楽も芝居も
同じような感覚なのだと思う。

そんな関西のお笑いで育った私にとって
東京にいてしかもテレビで観られるこの喜び。
何がそんなにおもしろいのか‥。
「つっこみ」の間と切り返しの面白さだ。
大阪ならではの切り口でそこに魅せられる。
「そこでつっこむ〜?」「がはははは〜」
となる訳でその笑いに癒されている今日この頃だ。
衰えつつある脳細胞を刺激し笑うことで腹筋も鍛えられ
家の中が明るくなり気持ちの良い一日のスタートがきれる。
一石二丁なんてものじゃなく五丁はある。
願わくば、内容を東京風に変えないでもらいたい。
「こてこての関西」を貫いてもらいたいと思うのは
私だけだろうか。