雪の少ない旭川、タクシーで町を抜けると
あっと言う間に「アーリータイムス」の煉瓦の建物に到着。
あの街のあそこにあるのが似合っている。
「こんにちは〜」とドアを開けると他のメンバーはすでに集合。
野澤さん‥変わらない笑顔、去年の夏に戻ったような
気持ちにさせられる。
床から天井まで、レコードや本がぎっしり。
野澤さんの思い入れが詰まった貴重なコレクションを
指でなぞる。
そこは70年代の音楽の玉手箱だ。
さっそくリハーサル、二度目ということもあり
アーリータイムスならではの大陸的なテンポで始まっていく。
全員リラックス
真冬の旭川での2度目のライブに来てくださるだろうか‥
そんな心配は無用だった。
たくさんの方の暖かい拍手に迎えられ
猫「片思いのブルース」でライブの幕は上がる。
2階が控え室。
屋根裏のような部屋は目の位置に頑丈な梁が縦横に走っていて
その上に確かハイネケンだったかな、空瓶が並べてある。
これも野澤さんのこだわりなのか。
テーブルとソファがあり、細長い窓からは隣の建物と空が見える。
着替えも済ませソファに座り、階下から聞こえてくる
「猫」のサウンドに耳を傾けながらストーブの赤い火を見ていたら身体がどんどん沈み地球の真ん中まで行きそうな感覚‥
夢を見た気がした。
どんな夢だったのか‥
ドアが開き、野澤さんが「だいじょうぶ?」と声をかけてくれ
我に返った。
さて、そろそろ出番、ゆっくり階段を降りて行った。
猫と一緒の時はギターを弾くので
いつもより緊張感が増す。
中川イサトさんが
「弾き語りをするときは脳の右と左を
歌とギターに分けたらいいよ」
と教えて下さったが、思うようにいかない。
私の脳味噌はひとかたまりになっているようだ。
猫とのジョイントではポップなサウンドなりアレンジで
「バンド」で歌う楽しさを教えてもらっている。
まだまだ進化しなくてはならないけれど
まる六でのそれとは異なる楽しさを味わいながら
アンコールを迎える。
2曲の予定が4曲に。
北海道ツアー初日の締め括りは
野澤さんの手作りのポテトサラダ(カウンターの中で猫のMCに
つっこみを入れながらジャガイモを茹でていたのを私は、見た)や出汁のうまみがたっぷりの寄せ鍋などテーブルに乗りきらない程のご馳走と乾杯と笑顔に満ちていた。
時折、熱気で火照った身体を外に出て冷ます。
真冬の旭川はぽかぽかと暖かだった。