2005年11月一覧

ドスコイ酒場ちゃんこ芝松

冬の気配が感じられるようになった週末。
久しぶりに家族揃って食事をすることになった。
いくつかの祝い事があったが
先延ばしにしていたのでひとまとめにして
娘夫婦、息子、友人も巻き込んで
美味しいものでも食べようということになった。
さて、何を食べるか‥若者とは食の嗜好が
月とすっぽんくらいかけ離れているので聞く事にした。
息子は「普通のもの食べて〜」って何?
娘は「何でもいいよ〜」‥。

以前、ある方から
「僕は日本一美味しいちゃんこ屋だと思います」と
教えてもらった店がある。
(かつて友人に、大阪の十三で美味しいちゃんこを
ご馳走になったことがあり、その味が忘れられず
東京での美味しいちゃんことの出会いを楽しみにしていた)
その方は、作家「池田弥三郎氏」の甥にあたる方で
私は弥三郎さんがお話になる江戸弁が大好きだった。
歌舞伎や相撲、食にも精通していらしたのは周知の事実だ。
そんな江戸っ子が太鼓判を押しているのだから
間違いないだろうと足を運んだのである。で、間違いなかった!
店の前には植木鉢が置かれていてどこの町にでもありそうな
店構えだが並んで待つのは当たり前と言うほど
人気のあるお店だ。冬の寒空、足を踏み踏み
おしくらまんじゅうをしながら待つのもおつなものだった。

記念日のお祝いだからちょっと奮発して
仏料理、伊料理、はたまたお寿司、天麩羅など
いろいろ考えたが懐具合も頼りなく‥。
そうだ、ちゃんこだ〜と。
丁度、朝青龍が7連覇達成という素晴らしい成績を残し
た九州場所の前でもありここに決めた。

「ドスコイ酒場ちゃんこ芝松」

どうだ〜!と言わんばかりの堂々たる名前である。
お店のお兄さん達(若くて元気)のユニフォームは
お相撲さんが普段着ているゆかたである。
腰のところでだぶらせる着方をして相撲部屋の
雰囲気ばっちり。3階まであるお店の階段を
だだだだだ〜と猛スピードで上がったり降りたり
それを見ているだけでも気持ちが良い!
こちらも「どすこ〜い!」という気分になり
相撲部屋にいる様な錯覚にさえ陥る。

初めて来た子供達も目を輝かせ自然と笑みが浮かぶ。
私たちは2階の座敷に座ったが壁には力士の写真や
赤い手形入りサインが貼ってあり、待っている間も楽しい。
これで今回のチョイスは成功したも同然。
お刺身、たこの唐揚げ、力士味噌をつけて食べるきゅうり、
フライドポテトマーガリンのっけとカニクリームコロッケ
(ちゃんこ屋さんにこのメニュー不思議でしょ)
焼き鳥、この時点でお腹一杯なのだが
何故かちゃんこは入ってしまう。
味噌、醤油、塩、キムチ、からお薦めの味噌と塩を選ぶ
時間をかけてとった出汁に車エビやつみれ
豚肉、鶏肉、野菜にきのこ。
栄養のバランスもとれ、家ではなかなか出せない味だ。
具だくさんの鍋をはふはふ言いながら皆でつつくのは
なんとも楽しい。日本人であることを幸せに思う瞬間だ。
締めは、たっぷりうまみの出た出汁に入れる中華麺と饂飩。
総勢5人、あっという間にたいらげた。
食べることが大好きなお婿さんと我が友。
最近食欲がないと言っていた娘も美味しいと頬張り
普通のものが食べたいと言っていた息子も
「うまい!」と一言。お世辞の言えない彼の顔を見ればわかる。

どれも美味しくボリュウムがあり安いときていて
若い人はもちろん家族連れや我々の世代も多く
幅広い層の人たちのわいわいがやがやがイイカンジの
BGMとなり、より一層雰囲気を盛り上げてくれる。
たわいも無い話をしながら楽しい宴は終わり
九州場所の番付表をおみやげにもらい
別れを惜しみながら家路についた。

それにしても今場所の琴欧州と朝青龍との対決は見物だった!
お互い遠い国から力士を目指し頑張ってきた二人の対決は
相撲のおもしろさを増幅させてくれた。
大関昇進おめでとう!
琴欧州には横綱目指して頑張ってもらいたい。
ファンの一人として心からエールを送ろう。
でもなあ、ハンサムだけど、相撲界のベッカムって‥(^^;


なるトモ

何日か前の朝、何気なくテレビをつけたら
どこかで見た、まあるい顔がアップになった。
よく見ると「なるみさん」だ。と言うと知り合いのように
誤解されるといけないのだが、単なる彼女のファンなので
呼び捨てにはできない。
なるみさん、もしくはなるみちゃん。
読売TVの「なるトモ」という朝のワイドショーが
東京の日本テレビでON AIRされる運びとなったのだ。
なるみさんは女性二人「トゥナイト」という名前で漫才の
コンビを組んでいたが相方が引退、今は一人でいくつも
番組を持っておられ関西では人気者。ダミ声?いやいや、
ハスキーな声と、人なつっこい笑顔の中に少量の毒と優しさを合わせ持つ独特のキャラクターで
陣内智則さんとからみながら司会をするワイドショーだ。
内容がどうとか言うより
大阪の匂いが感じられることがたまらない。
テレビに向かってつい「なんでやねん!」が
出てしまうのである(^^;
司会の二人と芸人さんの丁々発止のやりとりが
スリリングでおもしろい!
最近とみに「大阪」の血が騒ぎはじめているようだが
これも年のせいか。
関西方面に行くとホテルに着いてまず新聞のTV欄をくまなく探しお笑い番組をチェックすることから始まる。
タイミング良くそれが見られたら最高に嬉しいのである。

小学生の頃、土曜日は学校が半ドンで
家までお腹をすかせながら走って帰った。
教科書が少なくランドセルに隙間があるせいか
走ると筆箱がカタカタ鳴る。その音が気になり
なるべく左右に揺れないよう両手で肩のベルトをしっかり
押さえながら通い慣れた通学路を急ぐ。
商売をしていた我が家は商店街の入り口にあり
そこにたどりつくまでに
ご近所のおじちゃんやおばちゃん達と
「ただいま〜」
「おかえり!今日は早いやないの」
「だって土曜日やもん」
「そんなこと言わんともっと勉強しといで〜」
「いやや、死ぬほどしてきた」
などといつものご挨拶をしながら通り抜けて行く。
家に帰ると両親はお店に居たり仕入れに行って居なかったり。
私は、昼食のきつねうどんを一気に食べて
(当時、お店は忙しく人も多く居たのでお昼は
大抵うどんだった。お昆布と煮干しでとった
出汁は母の味、もう一度味わってみたいものだ)
二階に上がりテレビの前に座り
チャンネルをまわす‥間に合う。
「プンワカパッパ〜プンワカパッパ〜‥」
このメロディーを聞いただけでにこっとしてしまう。
吉本新喜劇の劇場中継である。
ストーリーは大阪のどこにでもありそうな町の人々の
人情を中心にひと騒動交えながらコントがからみ
ハッピーエンドというパターン。
数年前、大阪なんば花月に観に行ったが
役者さんが変わっているだけで何も変わっていなかった。
私にとってはそれが何より嬉しい。
一番前の端っこの席だったが芸人さんと
客との間に流れる空気感がなんとも言えず楽しい。
ライブであることの緊張感は音楽も芝居も
同じような感覚なのだと思う。

そんな関西のお笑いで育った私にとって
東京にいてしかもテレビで観られるこの喜び。
何がそんなにおもしろいのか‥。
「つっこみ」の間と切り返しの面白さだ。
大阪ならではの切り口でそこに魅せられる。
「そこでつっこむ〜?」「がはははは〜」
となる訳でその笑いに癒されている今日この頃だ。
衰えつつある脳細胞を刺激し笑うことで腹筋も鍛えられ
家の中が明るくなり気持ちの良い一日のスタートがきれる。
一石二丁なんてものじゃなく五丁はある。
願わくば、内容を東京風に変えないでもらいたい。
「こてこての関西」を貫いてもらいたいと思うのは
私だけだろうか。