去年、友人から知らされた「居酒屋拓郎」の存在。
その後、恒平ちゃんがライブをし
今回「猫」と私のライブが実現した。
考えてみるといつも一歩先を恒平ちゃんが歩いてくれ
その足跡をたどるように追いかけていく、私。
お店に入る時には、よし、とお腹に力をいれた。
ここでまた母の一言。
「人生、ええことみっつあったら儲け物やと思いなさい。
お腹に十文字いれてしっかっりしなはれ(笑)」と‥。
幼い頃は「じゅうもんじいれて」の意味が理解できてなかったが
なんとなく「がんばろう」と思ったものだ。
何事にもそれくらいの覚悟で取り組んでいきなさいとの母からの強力なメッセージだった。
店内に入りライブのステージの準備をしている
小林さんに挨拶をしたとき私の不安は解消された。
小林さんは汗をふきながら「初めまして」と
深々と頭を下げられた。
ふと背中を暖かい風がとおり抜けていく。
奥行きのあるお店はカウンターもテーブルを片付けたスペースも
ステージの横にある小上がりも人人で一杯。
ライブが始まる。「猫」サウンドはかっこ良かった!
ステージを見つめるどの瞳もキラキラ輝き
今日を待っていて下さったのだなと、胸が熱くなる。
前日と同じ曲目を緊張の中歌い
ラストに「春の風が吹いていたら」を歌わせてもらった。
伊庭恵子さんの作品で、好きな曲、と言うか
歌う機会が増えこの曲の優しさに触れたと
言った方が正しいかもしれない。
「明るい朝の光より、夕焼け雲の色が好き」
私も夕焼けが好き。
「どこかで泣いている人の心にきっと届くよう‥」
今の私の歌が誰かの心に届くように。
悲しみの涙ではなかったが
止めようのないものだった。
皆が一緒に歌ってくれて嬉しかった。
頑張って歌おうとしたが
だめだった。
ごめんなさい、そしてありがとう。
あの一瞬見えない言葉が
かけがえのないものを連れてきてくれた。
遠い記憶のかけらを乗せて‥。