去年まで9月14日15日の二日間が
わが故郷のお祭りだったが、今年から3連休にということで「だんじり祭り」は16日17日となったそうだ。
物心ついたときから太鼓と鉦と笛の音を口ずさみ
太鼓の練習はダンボール。
4人兄弟の末っ子の私だけが、目の色変えて二日間
だんじりの綱を持ち朝から晩まで曳いていた。
走りながら「えんや〜そうりゃ〜!」のかけ声。
家に帰るのはお昼ご飯と夕飯の時だけ。
試験引きから宵宮、本宮と‥。
だんじりと共に大きくなったと言っても
過言ではないくらい私たち「きしわだっこ」は
だんじりを愛している。
どこのお祭りもそうであるように地元の人々に愛され
その地域の文化である「祭り」を継承していくのだろう。
祇園祭の持つ圧倒的な品位と優雅さ、歴史においても
比べものにならないが、300年という時代を
生き抜いてきたのは市民の熱い思いに支えられている。
歌舞伎の鳴り物が好きなのもそんな子供時代が
背景にあるのかもしれない。
そんなに好きなお祭りなのに
もう何年見てないだろう。
そんな私を差し置いて(笑)
娘がひとり新幹線に乗って一路
岸和田へ行ってしまった〜。
うううらやまし。
おみやげとおみやげ話を持って帰ってきた娘は
意気揚々と‥心配していたお天気にも恵まれ
二日間、堪能したようだ。
娘は今回何度も目の前でだんじりの事故を目撃したそうな。
しかしながら、地元の人間にとっては民家の軒先を
だんじりが削って走るのは特筆すべきことでもないのである。
今でこそ全てのだんじりは一方通行で曳航するが
子供の頃は、あの狭い道を相互通行。
すれ違うときに色々なアクシデントがあり、ま、早い話が,血気盛んな青年団の若者がケンカを始めたりするので
だんじりを引っぱる綱の、先の方を持っている子供達はそんな様子をいち早く察知し(自然と備わるのが不思議)
蜘蛛の子を散らすように逃げる。
そして、収まった頃に戻り、何事もなかったかのように
又、かけ声をかけながら町中を走り回るのである。
私は見た事がないが「岸和田ケーブルテレビ」が
できたそうで、お祭りの日はもちろん
それ以外の日もほぼだんじりの情報が流れているとか‥。
そんな町で納得!
それぞれの町の人たちが1年かけて準備したお祭り。
だんじりを愛し、誇りを持ち、秋のこの日に披露する。
かかわった人達の目は輝き力に満ちている。
皆で無事に祭りが終わるよう祈願する。
夜は提灯に火を入れ、ゆっくり歩いての曳航。
昼間とは違い幽玄な美しさ、遠い昔に思いを馳せる。
二日目の夜、だんじりを小屋に納め別れを惜しむ。
祭りが終わり、仲間と肩を組み去って行く
はっぴ姿の若者の背中が切なく映る。
明日から、また来年の秋に向けて準備が始まる。
Photo by Aya