北海道ライブ

去年の「あんだれ」以来一年ぶりの北海道。
飛行機のチケットの都合で1日早い出発に心躍る。
再会を心待ちに、新しい出会いにも期待する。
週末は北海道も崩れるという予報。
お天気を心配しながら羽田に向かう。

荷物を預けにカウンターに行くと、
丁度3連休の前の金曜日で満席だったこともあり
「恐れ入りますが、ギターはお預け下さい」と言われた。
ソフトケースに入れて背負ってきたので
「お預け」する訳にはいかない。
なんとか持ち込みをさせてもらえるようお願いした。
カウンターの女性二人が何やら相談をし
2,3度行ったり来たり。
結果、機内持ち込みの許可が出た。ありがたい。
大切なギターを抱えて座り込んだ。
運良く、通路反対側の上の方の物入れが空いていて
私のはそこに納めてもらったが
同乗の常やんはそのまま抱えて旭川までの空の旅となった。
着陸前に揺れはしたが、1年振りに北海道に行ける事が
何より嬉しくて、少々の揺れも何のそのである。

旭川空港に着いたのは午後7時前。
宿の近くであちこち店をのぞき込み
食事を済ませ「アーリータイムス」におじゃました。
古い煉瓦の建物は周りの静けさに溶け込み
夜の街に佇んでいた。

壁にはぎっしり並んだLPやCD
今まで出演したアーティストのサイン色紙。
梁にも懐かしい顔のLPのジャケットが張り巡らされて
思わず、うあ〜っ、と声をあげてしまうほどの量だった。
オーナーの野澤さんのたたずまいが緊張感をほぐしてくれる。
30数年前に旭川で録音された
「猫」のライブの音もきかせてもらった。
そこにはあの田口くんの声が‥。あの頃のことが頭を巡り
胸が熱くなった。大久保くんのヴォーカルも懐かしい。

そんな思いを引きずりながら明日のために
「EARLY TIMES」のソーダ割りを一杯飲んで引きあげた。

翌日も予想以上に暑かったがお天気も回復し。
ほっとした。来て下さる方を思うと雨だけは‥と。
猫のメンバーも集まり、リハーサル。
初めての猫とのジョイントだ。

東京で2度リハをしてもらったが、
いつもと違う空気感に慣れず戸惑う。
どうしたら自分でいられるか‥
自分の居場所を確保するためのリハでもあった。
何度か音を出し歌っていくうちにどうにか雰囲気をつかめ
私は私をどうするかおぼろげに見えてきた。
あとは本番に賭けるだけである。

アーリーの2階が控え室になっていて
パリの屋根裏部屋に居るみたいだ。
ここにもたくさんのレコードや本が並んでいて
野澤さんの音楽に対する熱い思いがびんびん伝わってくる。

アーチ型になった窓からいい風が吹き抜けていく。

本番が始まる。高橋真樹君の力強い歌声が開場を包み込む。
そして「猫」リハ以上に3人のハーモニーが響き渡り
なんとも心地良く、日頃、本当に真面目に練習をしている成果を
結果として残してくれた素敵なライブだった。
猫との初のジョイントは、
私にとって新しい歌との出会いでもあった。

地元の方、東京やそれ以外の遠方から来て下さった方から。
暖かく迎えていただき、嬉しかった。
熱い気持ちはステージと客席の隔たりを吹き飛ばしてくれ
気持ち良く楽しく同じ思いが行き交う。

ライブ終了後、何はともあれビールで乾杯!
皆さんとジンギスカン鍋をつっつきながら
わいわいじゅうじゅうゴクゴク。

いつまでも話は尽きなかった。