2004年12月一覧

旅はみちづれ3

明けて12月4日の気温なんと29度。
湿度にいたっては120%もあるかと
思う程のコンディション。
K 氏はギターをとても気にしていた。
季節はずれの台風が運んできた低気圧の仕業だ。

ビルの上のライブハウスで屋外で演奏予定が
室内にと変更になる。
そこには大きなガジュマルの木があり
どうしてここにあるのだろうと思いながらも
見守られているような気持ちになるのが不思議だ。

「団長」杉田二郎氏をはじめ11組の
アーティストの那覇マラソン前夜祭の始まり!
元「シモンズ」の田中由美さんも
駆けつけてくれ大輪の花を咲かせてくれた。
徐々に雨も風も強くなり、
控え室として使っていたテントがバタバタと音をたて
ドキッする。
しかし沖縄の人にとっては大した事はないらしく
涼しい顔をしている。
湿度が高くK氏は幾度となくギターの様子をうかがい
チューニングに余念がない。
練習をしている私達の間を
うなり声をあげた風が
何か意志でもあるかのように駆け抜けて行く。
大切なギターを抱え風雨から守ろうとするその姿は
まるで幼子を抱いた父親のようだった。

リハーサルを終え本番までの時間
やはりマラソンの話になり
K氏は色々と皆にアドバイスをしてくれた。
もう一つの本番を明日に控えた
ミュージシャンでありアスリート達の
秘めたる闘志を垣間見る事ができ
それぞれがどのようなフィニッシュを迎えるのか
楽しみだった。

スタッフの方達が食事の用意をしてくれ
沖縄ならではの料理がたくさんテーブルに並んだ。
本番前あまり食べられない私は
「終わってからのお楽しみ!」にした。
隣から声がする。
「お佳ちゃん、明日のマラソンの為にしっかり
食べた方がいいよ!」見るとテーブルの上の
料理を猛然と食べている!
いや、その食べっぷりと言ったら
沖縄風天麩羅、ソーキそば、ジューシーお握り
(炊き込みご飯の事をジューシーと言う)
サーターアンダンギー(丸いドーナッツ)
ゴーヤチャンプルー
ポーポー(油味噌を包んだクレープのようなもの)
紫色のお餅(花ずみ」さんからの差し入れ)【注1】
多分全種類食べていたと思う。
でもそれには理由があり
マラソン直前はしっかり食べて
一時期絞った体重を戻し体力を温存するとか。
キビシイナー!

「あ〜食べすぎて空気も入らないよ、歌えるかなあ」
との心配もなんのその。
豊かな声量と美しい声、心に染み入る表現力で
老若男女ノックダウン!(ホント嫉妬しちゃう)

ライブも楽しく終え明日の為
早めに打ち上げを終わらせようと
会場で皆さんと一杯!
(ライブの内容はななこさんのHAL’S ROOMに
詳しく出ているので割愛させていただくとして)

団長と、永井龍雲氏が壇上にあがり
一人ずつゼッケンと背中に全員の名前の入った
お揃いのブルーのウィンドブレーカーが手渡される。
たった5km目標の私の名前もあり
申し訳ない気もしたがやはり嬉しかった!

第20回NAHAマラソンと赤い字で書いた
私のゼッケン番号は7531番。
なんていい番号だろう。なごみ〜だもんね!
気持ちも段々高揚してくるが
「なごみ」ながら走ろうと思った。
明日の為に今夜は早く休もう!
どうやら天気も回復しそうだ。
ほらね、私は雨女じゃないでしょ。

注1:忘れかけていたケータリングのメニューを
お世話になったPMエージェンシーの
芝千晶さんに、料理の名前だけでなく
材料やその意味まで
とても丁寧に教えていただきました。
芝さん、にふぇーでーびた!
(沖縄の言葉でありがとうの意味)


旅はみちづれ2

那覇までの空の旅を楽しむ為に
まずすること。
腰に負担をかけないように
(小室さんの教え)
毛布を2枚もらい
1枚を腰に当てもう1枚は膝に。

丁度お昼時だったので
軽食でも出るかとの期待はハズレ。
このごろは経費削減でナシ。
機内食もなかなか良いものなのになあ‥
飛行機会社も大変なんだ。

天候(台風27号)のせいで飛行機は
着陸前の10分程かなり揺れた。
隣の席を見ると先ほどまでマラソンの話で
盛り上がっていたK氏は
ややうつむき加減になり黙りつつある。

こりゃいかん!
何か話しをしなくてはと思ったら
飛行機が大きく揺れ
後方の座席にいた修学旅行生の数人が
「ひゃあ〜」と声を上げた。
若い人は反応が早いと言うか
「赤信号、皆で渡れば‥」精神と言うか
あっと言う間に広がって
あっちでもこっちでも黄色や青の「ひゃあ〜」
まるでジェットコースターに乗っている状態。
奇声をあげるは、両手をあげるは。
「ここは遊園地かあ〜!!」

お陰でK氏も気が紛れ「なんだい、あれ」
とか言ってる内に
那覇空港に無事着陸。
お迎えに来て下さったM氏は半袖。
東京は結構寒かったので
なんだか、沖縄に来たという実感が湧いてきた。
K氏「札幌と那覇の温度差は20度だ、すげー!」と

途中、因幡晃氏をピックアップして
ラジオ局に向かう。
車中はマラソンの話に花が咲く。
コースの説明を受けながら市内を眺める。
屋根の上のシーサーが「めんそーれ!」と
声をかけてくれたような気がした。
生まれて初めての沖縄との出会いは
徐々に強くなる雨と風の中だった。

飛行機を降りたK氏はみるみる元気を取り戻し
ラジオの生番組で炸裂した!


旅はみちづれ。

あの劇的な那覇マラソンから早10日が経った。
飛行機があまり好きでない恒平氏と私の
珍道中の始まりは羽田空港からだった。

思えば「二人だけで飛行機」に乗るのは初めてで
事前に送られてきたチケットを手に
まずはチェックインをしなければと思い
カウンターにむかったところ、恒平氏は
「いいんだよ、このまま入れば。ふふふ〜ん」と
鼻歌まじりの雰囲気を漂わせ
「そうだっけと思いつつ」
そのまま後をついてボディーチェックに向かったら
「空席待ちの方ですか?」と聞かれ
「いいえ」と言ったら
「チェックインを済ませてからこちらへ」
と言われた。でしょうでしょう‥!

広い羽田のロビーを、二人してガラガラ
(キャスターのついた旅行鞄のこと)を
引きずり右往左往しながらカウンターへ向かい
機内に持ち込むギターの席も確保した。

チケットの右側が空白になっていて座席の番号も
打ち込まれてないから変だなと思ったのに
あ〜何故いえなかったか。

それはK氏があまりにも
正々堂々としていたからである。
「あれ、もしかしたら私が間違ってる‥?」と
不覚にもついて行ってしまったのだ。
一人で飛行機に乗ったことは
一度や二度ではないのに。

とは言え「まる六」で私が発言すると5割
いや6割かな、(7割かもしれない)
とんちんかんな方向に行ってしまう
というデーターもあり
信じてもらえないとは思うので
偉そうには言えないが。

間違えた本人はというと
いたってケロリとしていて
「だあから、おけいちゃん言ったでしょう
(ニコニコ)」
くらいのことは言いかねないのである。

素晴らしい詩と音楽の世界を持っている人の
現実とのギャップがいたっておもしろく
やめられまへんなあ!

無事羽田を飛び立った飛行機は
凸凹の二人を乗せて
季節はずれの台風27号の待つ那覇へと向かう。